正しい風邪の治し方?


            はっくしゅんっ!
            いっせいに6つの目が僕に集まった。
            くしゅっ!
            じぃぃ…と珍しいものを見るかのように見る6つの目。
            「な…なんですかぁ…」
            「もしかして、八戒…風邪引いたのか?」
            悟空が心配そうに問い掛けてくる。
            「大丈夫ですよ。」
            と微笑んで見せれば
            「自分で自己管理もできないなんてな…」
            呆れたように三蔵が言った。
            「いえ、だから大丈夫ですって…」
            くしゅん!
            言ってるそばからくしゃみが出てしまった。
            これでは説得力も何もない。
            「でも、顔赤いぜ?」
            覗き込むように悟浄が顔を寄せてきた。
            「え…?」
            一瞬ドキッと心臓がはねる。
            コツン…と当たったのは悟浄の額。
            さらり…と深紅の髪が流れ、視界が紅く染まった。
            「やっぱ、熱あンじゃん。」
            悟浄の顔が離れていく。
            「えぇ〜!? 八戒、大丈夫か?」
            心配そうな悟空の声に重なった
            「寝てろ。」
            という三蔵の一言で、今日は一日ベッドの上で過ごすことが決定になってしまった。
            ベッドに寝転がると気が抜けたのか、視界が揺れた。
            「参りましたねぇ…」
            熱が上がってきているのかもしれない。
            小さく一人呟き、目を閉じる。
            睡魔はすぐに僕に襲いかかり、深い眠りへと引きずり込んだ。

            何か冷たいものが額に当たる感覚で目が覚めた。
            「ん…」
            「悪ィ、起こしちまったか?」
            そう僕に問いかける声は、聞きなれた声。
            「コレ…あなたがしてくれたんですか?」
            額には水で冷たく冷やされたタオルが乗っていた。
            熱をもった僕には、それの冷たさが心地よい。
            「あぁ、なんかオマエ、熱で辛そうだったからな。」
            三蔵がするわけねぇし、悟空にやらせたら逆に面倒が増えるし…と付け加えて。
            「すみません。」
            と謝りつつも、嬉しくて顔が綻んでしまう。
            「いーからさっさと治せよな。」
            そう言って照れたようにそっぽを向いてしまう悟浄に
            「ありがとうございます…」
            そう言って、僕は再び目を閉じた。

            うとうととしていた意識が表面に浮かんでくる。
            閉じていた目をあけて、ふと横を見てみた。
            月の光に照らされて浮かび上がる、深紅。
            ベッドにもたれたまま眠ってしまったらしい悟浄がそこにいた。
            ぽとり…と額に乗せてあったタオルが落ちる。
            「あ…」
            つい、声が出てしまいどうやら悟浄を起こしてしまったらしい。
            「…ぁ…起きたか?」
            「はい…すみません、悟浄。」
            看病していてくれてのだろう悟浄に詫びる。
            僕のその言葉にはなんら答えず
            「喉、渇いてねェか?」
            と質問された。
            そういえば、喉が渇いている。
            「オラ、水。」
            そう言って差し出されたグラスを、僕は半身を起こして受け取った。
            なにやら、照れくさい。
            両手でグラスを包み込むようにして、水を飲んだ。
            気付いていなかったが、どうもすごく喉が渇いていたらしい。
            細胞の一つ一つにまで水が染み入っていくような感覚。
            ペロリ…と無意識に唇を舐めた。
            コツンと額と額が重なって…
            次の瞬間、唇に感じたのは柔らかく温かい、何か。
            目の前に広がる紅。
            それは一瞬の間をおいて、スッと離れていった。
            「…ご…じょぉっ!」
            風邪がうつったらどうするんですか!と睨みつけた。
            「風邪ってうつすと治るらしいぜ?」
            悟浄はそう笑いながら、部屋を出ていった。
            布団にもぐりこんだ僕はその後姿に、小さく洩らす。
            「あなたにうつして、僕が治ったって…意味、ないんですよ。」
            火照ってしまった顔に手を当てて、僕は目を閉じたのだった。


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  書いてみての一言。(By 夏樹葉)
  うぎゃぁぁぁ。(断末魔の叫び)
  甘甘浄八小説という桜塚サマからのリクエストだったはずなのにぃ…(涙)
  どこが甘甘だって話ですね(汗)
  すいません…文章の才能に見放された人間なんです…
  しかもタイトル超単純だし…
  もっと頭使えって、自分(滝汗)
  あぅ…
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