ことのは


            時々だけど、言葉って不便だなー…って思う。
            もしかしたら、八戒みたく頭がよければ別なのかもだけど…
            俺が伝えたいって思ってることの半分も伝わってない気がする。
            言葉って、不便。
            俺がこんなに、三蔵のこと好きだって…どーやったら伝えられるんだろ?


            いつもどおりの一日。
            空はちょっと曇ってて、なんか今にも雨が降ってきそうだった。
            なんか今の俺の気分みたいだって、ちょっと思う。
            今日がいつもとちょっと違うのは、三蔵が出かけるってこと。
            出かけるのなんていつものことだけど、でも、今日はちょっと違うんだって。
            なんか、遠くの方まで行かなきゃいけないらしくて、今夜は帰って来れないって言ってた。
            だからかな…?
            なんか…すっげぇ寂しくって…哀しい。


            いつもみたいに寺院の門のところまでくっついてく。
            いつもと変わらない三蔵の表情<かお>。
            なんか、俺ばっか寂しいみたいじゃんか…
            ちょっと悔しいよーな気がする。
            だってさ、俺はこんなに三蔵のこと好きで、三蔵と離れたくないのに。
            でも、三蔵は全然なんにも思ってないみたいだし。
            俺だったら、1分でも1秒でも三蔵と離れてたくない。
            ずっと、三蔵の傍にいたい。
            好きだから。
            三蔵のことが、すっげぇ好きだから。
            いつもみたいにくるりと振り返った三蔵が、いつもと同じように
            「じゃぁな。」
            と短い言葉を残して、いつもと同じように去っていく…。
            俺の、いちばん嫌いな瞬間。
            だから、いつも俺はさっさと寺院の中に入るようにしてる。
            遠く離れてく三蔵を、見たくないから…
            だけど、今日は違った。
            「…どうした、悟空?」
            紫色の瞳がそのまま止まって、こっちを不思議そうに見てた。
            寺院の方に向けかけた足が止まる。
            なんでそんな視線を向けられてるのか分からなくて、
            「え?」
            と聞き返した。
            「なんで泣いてやがるのか、訊いているんだ。」
            …泣いてるって?
            「…バカ猿が。 自覚できてねェのか?」
            あからさまに溜息をつきながらも、ふわっと三蔵の手が優しく頬に触れる。
            拭われて初めて気付いた、水の感触。
            「…あれ…?」
            思わず、自分でもバカだな〜…って思うような、間抜けな声が出てしまった。
            でも、泣いてるって自覚したらなんか涙が止まんなくなっちまって…
            「…ぅ…っ…」
            みっともなく、しゃくりあげちまった。
            なんで泣いてるのかなんて、自分でもよく分からない。
            多分、三蔵の手の温かさが気持ちよくて…三蔵が今夜いないってことが哀しくて…
            「…仕方ねぇな…」
            ボソッと呟いた声に、顔をあげた。
            「…今日中に帰ってくるようにする。」
            「…え?」
            「…今日中に、帰る。」
            言われた言葉を頭の中で繰り返す。
            その言葉の意味を理解して、俺は三蔵に抱きついた。
            「マジでっ?」
            「嘘なんざ言ったって、意味がねェだろうが。」
            「…でも、さ…」
            「俺が帰るって言っているんだ。」
            別にお前のためじゃないという風に三蔵はそっけなく言い放つ。
            その中に含まれた優しさ。
            「…やっぱ、俺、三蔵のこと大好きだ。」
            俺はできるだけの笑顔で、笑って言った。
            「あぁ?」
            機嫌悪そうに睨んでくる三蔵に、えへへ…と笑ってみせた。
            「…じゃぁな。」
            そう言って去っていく三蔵を見送るのも、今は辛くない。
            「うん、またな!」
            バイバイと手を振って、三蔵の姿がちっちゃくなって見えなくなるまで見送った。


            言葉って、やっぱ不便。
            だけど、言葉にしなかったら、どんな気持ちも伝わんない。
            どれくらい三蔵に、俺の気持ちが届いてるかなんてわかんないけど…
            でも、きっとこの気持ちのいくらかは、絶対届いてる。
            伝わらなかったら、その分いっぱい言えばいいんだよな。
            うん…。
            大好きだぞ、三蔵…


■ 夏樹葉のボヤキ ■
やっぱり甘ぁ〜い「三空」になってしまうんですよねぇ…
うちの三蔵サマ、受けのはずだったのになぁ…。(ヲイ)
最近スランプです。 書きたいこといっぱいあるのに…
なぜか、言葉が出てこないんですよね… はぁ…(溜息)



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