確かに…俺は出会ったんだ。
キラキラした「太陽」と。
会話の一つも、思い出せないけど…


〜SHALLOW SLEEP〜


「さっさと起きろ、このバカ猿。」
「…んぁ?」
いつものようにぶっきらぼうな声で起こされた。
「朝飯がなくなってもいいのか?」
そう言って不機嫌そうに俺を見下ろしてるのは金色の髪をした、紫のタレ目の男。
「ん、オハヨ〜…さんぞ〜。」
まだ眠い目をこすりながら、とりあえず挨拶をする。
「オハヨウじゃねぇ。 さっさと仕度しろ。」
先に食堂に行ってるからなと言いおき、さっさと行ってしまうのはいつものことだ。
だからあまり気にしない。
とりあえず顔を洗って、服を着替えて…
やっぱりまだしゃっきりしない頭で、食堂へと向かった。
そこにはもうみんな来ていて…
「オハヨ〜、悟浄、八戒。」
「おはようございます、悟空。」
「ンだよ、眠そうな顔してんな。」
返ってくる挨拶もいつもどおり。
椅子を引っ張り出して、席についた。
「よく眠れました?」
八戒がミルクをたっぷり入れたカフェオレを出してくれる。
それに口をつけながら
「んっと、なんか、夢見た…。」
朧に憶えている夢の記憶を辿りながら、夢の中で見た金色に思いを馳せる。
「なんかさ、三蔵みたいな金色の髪のヤツがいて…俺がもっと、ちっこいの。」
すごく懐かしい気がしたんだ…と笑ったら、いつもはほとんど口を開かない三蔵が
「…奇遇だな…」
と言葉を発した。
「俺の夢にも金髪ヤロウと煩い小猿が出てきやがった。」
心底いやそうに言うけれど、その顔はいつもより穏やかだった気がした。
「不思議なこともあるものですねぇ…」
僕も同じような夢を見たんですよ、と八戒が言う。
「嘘?! お前らもなワケ?!」
驚いたような声で悟浄も言った。
「へぇ〜…なんか、珍しいよな。」
俺も驚いて、言った。
「でもさ…なに話したかとか、全然憶えてねぇんだ。」
多分、何か話してたんだけど…それは、思い出せない。
でも、その夢はすごく心地よくて…
浅い眠りの中を行ったり来たり。
ゆらゆら揺られてるみたいな…
「もしかしたら、僕らの前世の記憶なのかもしれませんね。」
「うわ、マジかよ…。 俺は綺麗なオネーサンと…」
「…過去でもお前らみたいなのと一緒だったとしたら、それこそ笑えんな。」
なんかみんな、好き勝手なこと言ってたけど…
多分みんな幸せだったんだと思う。
…だって、すごく柔らかく微笑ってたから。
そして、俺も幸せだったんだと思う。
今は記憶なんて全然なくて、どんな生活してたとか全然わかんねぇけど。
あんなふうに笑ってたんだったら、幸せだったんだと思う。
今、傍にみんながいるように…
昔の俺の傍にも、一緒にいてくれたヤツがいたから…


「さて、そろそろ出発しましょうか。」
八戒の声に促されて、俺たちはジープへと乗り込んだ。
「行くぞ。」
その声とともに、西へと向かう。
これからもきっと、同じようなことの繰り返し。
だけど…それでもいっかな。
楽しいから、さ。




あとがき…コト、夏樹葉の独り言。
  お友達のゆとりくんに頼まれた小説。 意外に楽しかったです。
  ネタのもとは…某アーティストグループのVo.さんの曲。
  最近はソロ活動してるみたいですねぇ〜(笑)
  浅い眠りをたゆたってる時って、すごく幸せじゃないですか?
  しかも、幸せな夢見たりすると。
  まぁ、逆に目が覚めて哀しくなることもありますが。
  ま、それは別として。
  幸せだった頃の過去を、ちょっとね…書きたかったんです。
  憶えてないけど、なんか幸せな気分。
  そんな感じ。
  そして、うちのサイトもそんなほんわかサイトになればいいなぁ…
  なんて。




モドル

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送